挽物屋が作るオリジナル製品
挽物の技術を伝えるため、新潟のデザイン事務所FD.incとコラボし、
型を使わずに一つずつ削り出した挽物のオリジナル製品を作りました。
フタの形を削り出す前の金属のようなソリッドなフォルムに設定することで、
滑らかなラインに削り出したボディと対照的なスタイリングが「挽物」を
表現するペンです。
挽物とは?
挽物とは素材を回転させ、そこに刃物を当て削る技術です。
中心となるのは旋盤と呼ばれる機械を使用した加工。
円柱、四角柱、六角柱の形状をした金属や樹脂などの材料を
切削加工することができます。
三条ものづくり学校に紹介していただきました。
オリジナル製品を作るまで
地場産業の多くは自社製品を持たない工場です。
主に製品を作る過程の中間加工を行っており、
私たちもそんな工場のひとつです。
創立40周年にあたり自社の技術を可視化する製品を
作れないかとデザイナーに相談しました。
既存の取引先と競合しない製品で、
弊社が取り扱いを得意とする真鍮やアルミといった
金属の質感や重量感を生かしたいと伝え、
提案されたのがサインペンでした。
弊社が材料として持っている16mm角材をキャップとし、
金属の重さを機能として活用したペンというコンセプトです。
また、切削で削り出したボディと対比させることで
挽物を表現したデザインとなっています。
例えば、ボルトやナットは六角の材料から削り出されます。
穴を開けたりタップを切ったりしていますが、
元々は六角形の長い材料があります。
六角だけではなく四角や丸棒といった様々な素材があり、
仕上げで表面を削ればその造形はプロダクトで生かせます。
そして、ペンにも様々なリフィル(替芯)があります。
挽物は型を使わずに成形することができる技術です。
既存のリフィルに合わせたパーツを作成し、
完成品としてのプロダクトを持たない私たちが
素材を生かして加工することで「自社製品」を作りました。
およそ半年の試行錯誤を経て試作品を作りました。
そして2020年3月の東京インターナショナル・ギフト・ショー春に
「GRIND(グラインド)」と名付けて出品しました。
燕商工会議所の出店エリアに間借りする形で自社商品を展示しました。
同じタイミングで開催された「ててて商談会」にも
デザイナーが出展しておりそのブースにも展示してもらいました。
文房具という普段と違う商品をはじめてつくり、
多くの人に見てもらい、手に取ってもらうということ。
当たり前の事のように思われるかもしれませんが、
40年の社歴の中では私達が知る範囲では
はじめての取り組みなのです。
ほんとに小さな一歩ですが大きな一歩のようにも感じました。
評判は上々で、中でも月刊文具さんが誌面に取り上げてくださりました。
また、展示会に出たことで「ペンジャケット」を知りました。
ペンジャケットは様々なタイプのものがあり、
気に入ったペンをカスタムする人やそこに向けた製品です。
そうした製品と私達のGRINDとは根本的なコンセプトが違うものの
実用一辺倒では無い「遊び心」に可能性を強く感じ ました。
ここまでは順調でしたが、この後コロナ(Covid-19)が世界に広がり
既存の反露を持たない私達の活動に大きな影響を受けることになります。
営業活動も憚られる中、少しでも前に進めるために
デザイナーがクラウドファンドに挑戦したいとの提案がありました。
ぜひ挑戦してみようとのことで、
モーションギャラリーでクラウドファンドに挑戦しました。
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皆様のご支援のおかげで目標を達成することができました。
今後もGRINDでは挽物の技術を可視化した自信作として、
文具のカスタマイズ需要を発掘していく方針です。
また、今回のようにデザイナーの提案する形を具現化していくような
案件も請け負っていきたいと考えています。
和田挽物HP